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豚の角煮を作るときの下処理に効果があるか実験してみた

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今回は珍しく料理ネタを書きたいと思います。

最近圧力鍋を購入してから、結構な頻度で豚の角煮を作っています。

いろんなレシピを見ながら味付けを変えたりしているのですが、意外と書かれていないのが、肉の下処理です。

主に臭みを取るのに酒や塩をかけたりするのですが、今回は塩に注目してみます。

肉に塩を振って置いておくと、徐々に中から水分が抜けていきます。水分が抜けると仕上がりがぱさぱさしそうなのですが、実は逆で、食品に塩を浸透させることで結合水(食品の成分と結びつく水分で、蒸発したり抜けたりしない)が増え仕上がりがジューシーになります。

カラカラの干物を焼くとしっとりと仕上がるのは干す前に塩漬けにすることで結合水が増えているためです。

実験

そこで、実際に塩を振っておくことでジューシーに仕上がるのか比較実験してみました。

あともう一つ、毎回作っていて思うのが、脂身が少しこってりしすぎているという点です。圧力鍋で煮るだけ では脂肪分が抜けきれず油っぽすぎるように感じるのです。

そこで、焼く前に脂身を焼いて油を落としたものを入れてみました。

以下が用意したものです。

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1. 普通の塊

塩も振らず、油も焼かないただ切っただけの塊です。

上の画像で左上の塊です。

2. 塩を振っておく

角煮の大きさに切り、全体にまんべんなく塩を振ったものです。振るというよりかは、少し刷り込むぐらいでいいかもしれません。

塩の量は肉の重さの約1%です。1%というのは、人間の血液と同じ塩分濃度で、ちょうどよい塩加減と感じる量です。

余談ですが、炒め物やチャーハンを作るときに全体量の約1%の塩だけで味付けをするとちょうどいい感じに仕上がり、失敗しません。

1%が下処理に正しいかは置いといて、仕上がりがしょっぱすぎないようにします。

普通の塊の右においてあるやつです。見にくいですが塩が振ってあります。

塩を振ってだいたい8時間くらい冷蔵庫に入れておきます。以下が8時間後の様子です。肉表面が濡れ、水分が出てきました。

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3. 塩水につけておく

燻製を作るときにソミュール液というスパイスや塩の入った液に浸しておくのですが、塩を振るのではなく、塩水につけておくとどうなるか実験に加えたいと思います。

肉と水を入れた袋に、全体量の1%の量の塩を入れます。

画像の下部に写っている袋です。水の入ったボールに袋ごと沈めて空気を抜きながらチャックをすることで、全体が塩水につかるようにします。

4. 脂身を焼く

塩を振っていない状態の肉を脂身だけ焼きます。

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こんがりと焼きあがりました。

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フライパンにはこれくらいの油が落ちました。

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この油はいわばラードなのでこの後炒め物に使って美味しくいただきました。

圧力鍋で煮込む

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塩をふってから8時間くらいたったものを取り出し、鍋に入れていきます。

肉の他の具は大根を入れました。味が染みて美味しくなります。

臭み取りにネギとショウガも入れておきます。写真のクロスしたネギはセパレータです。

圧力鍋は沸騰しないので荷崩れもせず、場所も移動しません。比較実験にはとても都合がいいです。

調味料は、水800mlに対し、醤油100ml、みりん50ml, 酒100ml, 砂糖が大さじ1杯です。

酒はアルコールに肉を柔らかくする効果があるほか、料理酒ならうまみも入っているので出汁代わりにいれます。

みりんは醤油の角をとってくれます。

出汁用の昆布を放り込んでおいても、あとで美味しく食べれます。

加圧時間は少し長い気もしますが硬いまま出てこないように20分にしました。

完成

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できました。

煮物は基本的に冷めるときに味がしみこむので、圧力が下がっても少し放置しておきます。

写真では、右上から時計回りに、塩、焼き、普通、塩水の順にならんでいます。

見た目的には味付けの濃さもちょうどいい感じです。もう少し醤油を抑えてもいいかもしれません。

比較

それでは食べてみます。

味の比較には妻も協力してもらいました。

1. 普通

いつも通りの感じです。やはり少し脂身が油っぽいです。

この味が基準になります。

2. 塩

想像以上の効果がありました。

まず赤身部分は跳ね返すような弾力があり、かなりジューシーに仕上がっています。

もう一度何も処理をしていない肉を食べてみると、ぱさぱさしているように感じます。

また、期待していなかった点ですが、塩のせいか脂身が甘く、そして油っぽさも抑えられているように感じました。

味は醤油と少し塩を感じますが、全体的にしょっぱいという感じではありませんでした。

3. 塩水

塩のみで処理したものと比べると少ししょっぱく感じます。

触感は塩のものとさほど変わらず弾力がありジューシーです。

手間を考えるとわざわざ塩水につけておく意味はなさそうです。

4. 焼き

こちらは脂身が油っぽいという点を見事に克服してくれました。

赤身部分は通常のものと同じですが、脂身は油が適度にぬけ、表面がコラーゲンのようなぷるぷる・つるつるした触感になっています。新触感で結構おししいです。

もちろん油っぽさはだいぶ抑えられました。

結論

肉の下処理に塩を振っておくと想像以上に効果がありました。

上記の結果を踏まえると「塩を振って8時間おき、油を焼く」のがベストな下処理だと思うかもしれませんが、塩を振った時の脂身が結構おいしく、焼いて脂身を少なくする処理は必ずしもいらないかもしれません。

結局好みの問題になってしまいますが、甘い脂身を楽しみたいという方は焼かずに、脂身が苦手という方は焼くのが良いと思います。

ただ、焼いた脂身の部分はプルプル・ツルツルの新触感なので、一度試してみる価値はあると思います!

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