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AIってそもそも何?AIにまつわる疑問に答えてみます。

はじめに

2016年ごろからITエンジニア業界では(第3次)AIブームが起こりました。第3次と書いたのは、実はブームになるのはこれで3回目です。

その後、数年かけて実験・開発が繰り返され、2018年ごろから様々なAI関連商品やサービスが誕生しました。

 

みなさんのAIに対するイメージってどんなものでしょう?

テレビではよく「〇〇を学習して××なAIが誕生した」みたいに言われています。

が、コンピュータが学習ってどういうこと?って思いませんか。

 

そこで今回はざっくりと現在作られているAIについて解説し、AIが得意なこと、苦手なことなどを書いてみようと思います。

 

【目次】

 

 

 

 

現在のAI

まずはAIがどのように動いているのか見ていきましょう。

大きく計算パートと学習パートに分けています。

途中難しい表現もありますが、分からないまま飛ばしてもらっても問題ありません。

 

計算の仕組み

 

さて、いきなり難しい用語を飛び出してしまいますが、現在のAIはニューラルネットワーク通称NNをベースに作られています。

 

ニューラルネットワークとは、脳の神経細胞を模して作られた計算プログラムです。

シナプス結合とか聞いたことありませんか?あれを実際にコンピュータ上で再現したものです。

 

そもそもですが、AIにしろ何にしろ、単なるコンピュータプログラム。つまりただの計算を行っているだけです。もちろん人間の手計算でも可能です。

 

ニューラルネットワークをもう少し詳しく、スーパーマーケットを例にとって説明します。

あるスーパーでビールの販売数を予測したいと思います。

そこで、その日の気温や曜日、湿度、バイトさんは誰が入っているか、などのデータを取り。これらをもとに予測を行いたいとします。今データは4種類ありますね。

 

ニューラルネットワークでは、これらのデータを全て数値に変換し、それぞれの数値に何かしらの値をかけ、その後全部足し合わせます。

何かしらの数値は数セット用意しておきます。3セット用意すると、足し合わせた後の計算結果も3つ出来上がります。あまり深く考えず、そうなんだと思ってください。

 

次がミソなのですが、この数値がある値を超えているかどうかチェックします。超えていたら、数値はそのまま。超えなかったら0にリセットします。

 

最後に、3つの値に、また何かしらの数値をそれぞれかけて足し合わせます。

最後にでた1つの数値が何と販売本数の予測数なのです。

 

ちょっと途中複雑な計算をしていますが、基本的には掛け算と足し算しかしていません。

 

学習の仕組み

 

しかし、この数値、最初は全くのデタラメです。

学習を行わないといけません。

そこで、過去のデータを持ってきます。過去のデータは上の4つのデータに加えて実際に販売されたビールの本数です。過去のデータなので本数は予測数ではなくちゃんと本物の販売本数です。

 

学習は次のように行います。

まず、デタラメでもいいので、過去のデータで予測を行います。

次に、その予測値と過去の販売本数を比べます。もちろん全然違うので差を取ります。プラス400本。みたいな感じですね。

 

次に、予測に用いた計算を逆にたどっていきます。これは、こんな大きな誤差を出したのはどこの計算だ!と答え方面からさかのぼって行くんですね。

 

ただ、はっきりとどこが原因か分からないので、ルールに従って、2つの値を更新していきます。

一つは、データにかけていた「何らかの数値」。もう一つは「超えているかどうかチェックに使ったある値」です。この二つを変更します。

これを逆誤差伝搬法を言います。

 

そうすると、もう一度同じ予測を行ったときには、さっきよりいい予測数になっているんです!

 

こんな感じのトレーニングを過去のデータをたくさん持ってきて、予測ー>誤差を取るー>逆順に学習する。をめちゃめちゃたくさん繰り返します。

 

そうすると最終的にはめちゃめちゃ精度の高い予測プログラムが出来上がり、これをAIと呼んでいます。

 

学習に使うデータを手塚治虫さんの漫画にすれば、学習したAIは手塚治虫風の漫画を書けるようになるし、模試の結果とその人がどの大学に入ったかというデータを学習させると模試の結果から、合格できる大学を高精度で予測できるようになります。

 

 

AIの得意なこと・苦手なこと

 

AIを作っていくには必ず大量のデータが必要となってきます。

逆に言えば、大量のデータがある分野では、AIが人間の認知能力を大きく上回るでしょう。

 

例えば、CT画像から病気の診断やがんの発見はすでに人間の認知能力を超えています。

顔認識や囲碁なども大量のデータがあり、AIの得意とするところです。

よくクリエイティブなものはAIに仕事を取られないと言われていますが、私はそうは思いません。音楽や絵、漫画などは過去の作品からいくらでも新しいものが作れてしまいます。

そのほか、教育、トレーニング、マーケティング、デザインなどはどんどんAIに置き換わっていくでしょう。

 

では、何がAIには難しいのでしょう。

「人がやるからこそ意味がある物」は苦手、というかできないでしょう。

例えば、リーダーや指導者。カウンセリングや介護・育児などです。

また、これまでのものと全く類似性のないもの、概念の開発なども苦手です。

 

AIが仕事を奪う?への私なりの解答

AIが実現されると私たちは仕事を奪われてしまうのでしょうか。

答えはYesです。

が、AIが奪ったからと言って仕事自体無くなることはありません。

例えば裁判官のような仕事はすぐにでもAI化されてもおかしくないです。しかし、AIが下した判断をそのまま適用するかと言うと、そこでストップがかかりますよね。

AIを導入しても、その答えを使うかどうかを最終的に決めるのは人間です。遠い将来でも裁判官は、AIが導いた答えにYesと答えるだけの専門職として残っていくと考えています。

 

また、AIによるコンビニの無人化がすでに始まっていますが、AIの開発ってお金がかかるんです!なので、バイトさんやパートさんを雇っていた方が安くつく場合はAI化はされないでしょう。特定の地域にしかないローカルスーパーなどは数千万円かけてまで無人にしようとは思わないはずです。

出来ることと、実際にやることは違います。

 

一方で、クリエイティブな仕事はどんどん人間の手によって奪われる(競争が激しくなる)と思います。

多くの人が職を失わないまでも、多くの作業がAIで自動化され、仕事の時間自体は短くなっていくと思われます。今より余った時間が何に使われるかと言うと、音楽や絵、漫画などのクリエイティブな仕事や趣味に使われるでしょう。

これまでそれ一本でやってきた人たちの仕事が、片手間で始めた人たちによってどんどん減っていくと想像しています。全員医師のバンドとか、現役弁護士が描く漫画とか。

多少下手でもリアルなものだったりレアなものの方が面白い場合もありますよね。

 

AIが戦争を起こす?

 

よく賢くなりすぎたAIが人間を滅ぼすなんて耳にしますが、そんなことはあり得ません。

AIが行うのはあくまでも足し算や掛け算などの数的演算です。結果的に人間を滅ぼせという結論に至ったとしても、実行権限が与えられていなければ何もすることはできません。もし戦争になったのなら、それはAIを過信した人間たちが起こしたものです。まるで宗教戦争のような。

 

最後に

ニューラルネットワークがAIの正体であるとお話ししました。

実際はニューラルネットワークをベースに、もっと複雑にしたディープラーニングや畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワークなど、用途によってさまざまな仕組みが使われています。

今もなお研究開発は進められており、予想だにしなかったことがAIによって実現されています。

 

仕事がなくなるとか、AIが暴走するなどと言う不安は置いておいてAIによって実現する近未来的な生活を楽しみにしていきたいですね。

 

 

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