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数学の入門書を選ぶ3つのコツ

微分方程式をしっかりと学んだことが無く、何か手ごろな入門書はないかと本屋さんに出向いたあなたは、きっと驚くはずだ。

微分方程式の入門書はとても多いからだ。さらに、ぱらぱらとめくってみたり、目次を見てみても、中身はほとんど同じだったりする。

これは例え話ではなく、本当に驚くほど同じような書籍が連立している。

線形代数ともなると、さらに多い。

そこで、この記事では、似たような専門書・入門書の中からあなたが欲しいと思う一冊を見つけ出すための3つのコツを紹介する。

これは勉強マニアの私が常に実践しているコツで、この方法を使い始めてからほとんど本の購入に失敗したことが無い。(多くの失敗を重ねてできたノウハウだともいえる)

もちろん、数学でなくても物理学の専門書・入門書を選ぶときでも使える。

【目次】

「はじめに」に注目

まず見てほしいのは、「はじめに」の部分だ。

書籍の目次や内容が同じようでも、「はじめに」の部分にはかなり個性が出る。

「はじめに」にはその書籍がどういった経緯で書かれたのか、対象読者は誰を想定しているのか、どこをゴールとしているのか。

などいわば書籍の自己紹介が書かれている。

その中でも特に注目してほしいのが、対象となる分野の「要約」についてだ。

例えば、微分方程式に関する書籍であれば、微分方程式に関する歴史や現状、エッセンスなどがまとめられていることが多い。

もしこの要約が書かれていなければ、そっとその本を棚に戻すといいだろう。

いくつかの本の「はじめに」に書かれている分野の要約を見ていくと、キラリと光る文章が載っているときがある。

私が見てきた中でいうと、「応用のための関数解析」という関数解析の入門書がそれだ。

新版 応用のための関数解析―その考え方と技法 (SGC BOOKS)

新版 応用のための関数解析―その考え方と技法 (SGC BOOKS)

この書籍の「はじめに」に書かれている分野の要約は、その文章だけでも千円くらいの価値がある素晴らしいものだった。

分野の要約が良いと何がうれしいのかというと、全体を俯瞰したうえで勉強を始められる点にある。

全体を俯瞰した視点を持つと、細かい議論に入っていっても自分がどこにいるのか見失うことはない。これは定理と証明で議論が進められていく数学では特に重要なことだ。

書籍を選ぶときはまず、分野の要約を見て、これから学ぶものの全体像がイメージできるような文章が載っているものを選ぶといいだろう。

ちなみに「はじめに」は書籍の最初だけでなく、各章にも書かれている。その章が何をゴールにしているのかイメージできるというのもとても重要だ。

あなたが得たい知識は「練習問題」にある

さて、あなたが本を買うのは知識やスキルを得たいからであろう。

微分方程式を学びたいという動機で本を買うにしても、人によっては常微分方程式が解けるようになりたいのか、漸近理論が知りたいのか、シミュレーションのために知りたいのかによって選ぶ本が異なってくる。

では、その書籍からどんな知識やスキルを得ることができるのかはどこを見ればいいだろうか。

正解は、「練習問題」に書かれている。

各章の最後にある練習問題は、各章で学んだことだけで(たまに別の知識も必要になることがある)解けるように設定されている。

裏を返せば、その章で取得できることが書かれている。

その章を学べばあなたは練習問題を解く力を得るのだ。

そこで、もし常微分方程式が解けるようになりたいのなら常微分方程式を解く練習問題が載っている入門書を選べばよい。

シミュレーションに応用したいのならコンピュータで解けと書かれている入門書を選ぶといいだろう。

最終的に熱方程式を学びたいのなら最後に熱方程式を解く問題があればいいし、常微分方程式だけでいいなら、最後に偏微分方程式を解く問題が載っている書籍は少し範囲が広すぎる。

私は練習問題を解くことが嫌いだったので、練習問題の内容なんて気にもしなかったし、載っていても解かなかった。

そのことに今となってはすごく後悔しているので、これから数学を学んでいく人はぜひ練習問題をしっかりとこなしてもらいたい。

最初の1割を理解できるか

最後のコツは、本全体の最初の1割がすらすらと読めるかどうかというものだ。

以前、興味だけで「リーマンゼータ函数と保型波動」という書籍を買ったことがあるが、一行目から理解できなかった。

リーマンゼータ函数と保型波動 (共立講座 21世紀の数学 21)

リーマンゼータ函数と保型波動 (共立講座 21世紀の数学 21)

何とか調べながら読み進めようとしたが以降も難しく、結局売ってしまった。

本を買う理由は自分が知らないことを知るためなのだが、全く知らないことだらけだと読むことができない。

そこで、せめて最初の1割または第1章ぐらいはすらすらと読め、おおよそ知っている内容を復習するぐらいの方が全体のバランスはちょうどいい。

1割を超えすぎてしまうと知っていることが長く続き、面白くなくなって、読むのをやめてしまう。

個人差はあると思うが、私の経験からだいたい1割ぐらい既知の内容であるものがちょうどいい

最後に

最近では数学科の学生だけでなく、線形代数や統計学を学ぶ社会人も増えてきた。

数学の専門書は他の経済書や育児本などに比べると平均して千円ほど高い。

書籍一冊にしろ安い買い物ではないし、読むのにも時間がかかるので、ぜひ慎重に選んでから買っていただくことを願いう。