前回、数学を好きになれた4つの理由 という記事を書きました。
今回は逆に数学を好きになれない理由について、数学好きの私が考えてみたいと思います。
教え方の問題1つ目
学生の頃みんな一回は経験があると思います。前の黒板で問題を解かせるやつ。 あれは一体何なんでしょうね。私も前に出て問題を解くのは嫌いでした。
数学が得意でない人なら拷問に近いですよね。まず、あれが数学を嫌いにさせる1つの要因になっているように思います。
前に行ってまで問題が解けないと恥ずかしいです。問題が解けない=悪い みたいなイメージが付いたと思います。
問題が解けるに越したことはないですが、わざわざみんなの前で解けないことをアピールさせる必要はないです。
数学の問題を解くにはいろいろなことを理解する必要があります。理解しなければならないことの多さでは教科の中でも多い方だと思います。どの部分の理解に躓くかは人それぞれで、躓くこと自体は悪いことではありません。
ひっそりと勉強して、人よりも長い時間がかかっても、ちゃんと理解し、問題が解けるようになることが大切なのです。
教え方の問題2つ目
数学の先生ってどんなイメージでしょうか。あるいは数学の授業風景を思い出してください。
淡々と、特に盛り上がりもない感じでしょうか。
先生にもよりますが、教えている本人が数学を好きで、楽しそうにやってくれないと私たちも楽しくないですよね。
数学は実はとても自由で楽しい教科なのです。実際何人もの数学者が人生を賭けたし、物理学や生物、情報を勉強・研究していて数学に出会い、数学者へと転身した人も多くいます。数学には人を虜にさせる魅力があるのですが、それがなかなか伝わらない。
数学が何に役立っているのか・何が楽しいのか・美しいとは何かを伝えられる先生に出会えると、また違ったかもしれませんね。
力を入れるところが違う気がする
数学の問題が解けるようには、とにかく問題を解くということが大切です(大学生のとき、私は問題演習を怠って、全然問題が解けませんでした)。
問題演習をしていると、だんだん問題が解けるようになります。ですが、大前提として、なぜ解けるかを理解しておく必要があります。
解けない問題の解答を見たときに、「こんな解法思い浮かばない!」と思うことはよくあります。私も模試の解答を見て、よく思いました。
すごい独創的で、解法が全然思い浮かばない時もあるのですが、大抵の場合、定義に戻って考えると理解できることがあります。
よく、定義に戻って考えるって言いますよね。数学では定義が大事です。数学で扱う対象は、わけのわからない概念や関数や図形です。わけがわからないからこそ、定義を何度もよく読み、理解する必要があるのです。
学校教育では、定義の理解にかける時間が少ないです。さっと流す程度です。ちゃんと理解できれば教科書の章末問題くらいなら、時間がかかっても自分で解放を見つけられるようになるはずです。
先生の言っていた解法で淡々と作業するだけでは、何も学習したことになりません。学習するには自分で考え、間違い、その間違いを修正することが必要なのです。
突然難しくなる問題
中学一年生、高校1年生など、数学の初めの方は多くの方ができていたはずです。
教え方もゆっくりで、丁寧だったし、いろんな図を用いて説明してくれます。
ですがある時を境に、数式だらになり、数式をごちゃごちゃと変形している間に何かの証明が完了する。
私はこれを「突然難しくなる問題」と呼んでいます。長い間悩んでいました。途中で放棄したこともあったり。
そうすると、とたんについていけていないような感じがします。
突然難しくなる問題の原因は、図や例題が省略されているだけというのに気づいたのはつい最近です。
解決方法は、丁寧に教えてもらっていた時と同じようなたくさんの例題や、簡略化した図を自分で描いてみることです。この作業は時間がかかります。ですが、理解してそれを自分の手で例題や図を描いたりすることは、結局一番の近道になります。
学生の間は時間のかかる勉強方法はできなかったと思います。ですが、急がば回れ、ですね。
積み重ねをやり直すタイミングがない
数学は積み重ねです。小学校で習う分数の計算や中学校入ってすぐの式の計算、高校に入ると三角関数が出てきます。それぞれ独立したものではなくて、数学では積み重なっており、小学校のときに躓いてしまうと、もう躓いたところから起き上がる暇もなくどんどん授業は進んでいきます。
そうすると、授業で出てくることは、分からないことだらけになってしまいます。嫌になって、考えることを放棄してしまいます。
学校って何なんでしょう。躓いた生徒をほっていって、学習指導要領にもとづいて授業をしているだけなら、それは先生一人でやればいいです。
先生側も詰め込まれた学習指導要領をこなすことで精一杯で、1年くらいさかのぼってやり直しましょうとは言えないと思います。
では、一度躓いたらどこで起き上がればいいのでしょうか。それは、いつでもいいです。
大事なのは躓いたところでずっと止まっていないことです。
大学院へ進学して、これから専門としていく分野の授業を受けたとき、第1回目の授業から全く内容が理解できませんでした。それ以降その授業の単位を取るのをあきらめて、その授業でわからなかった単語を理解するために、自分ができていないところからやり直しました。内容は理学部数学科の3,4年生で勉強する内容だと思います。
大学院の2年間では結局追いつくことはできませんでしたが、戻って勉強をし直さないと、それすらも理解できていませんでした。もっと大学時代に勉強していればと思うこともありますが、その時はそれで精一杯でした。
最後に
一度嫌いになってしまったものを好きにさせるのは難しいですね。好きになってほしいですが、好きになれと言う気もありません。
ですが、私たちの次の世代の子たちには、ぜひ好きになってほしいですね。
数学が、嫌いな科目の代表みたいに扱われなくなることを祈っています。